第30回 食事と抗菌作用の話(2015年3月 No.30より)

【絶食は病気のもと。  腸内免疫のカギをにぎる抗菌ペプチドの働き】

皆さん。ひげ博士じゃ。食事が出来る事は幸せな事じゃが、新しい食事の機能がもう一つ示されたようじゃ。食事をしないでいると、LPSに応答して誘導される腸の抗菌作用が低下するという研究結果が報告されたので紹介しよう。

中心静脈栄養というのは、口から食事を長期間取るのが難しいヒトに、1日に必要なカロリーを含んだ栄養液(輸液)を太い血管である中心静脈に投与する方法じゃ。長期間にわたって、口から食事をしないと、腸の粘膜が萎縮してしまうことが知られておる。サージャリーという科学ジャーナルに紹介されている論文では、小腸で抗菌ペプチドを出しているパネート細胞のLPSに対する反応性が、中心静脈栄養で飼育したマウスでは低下しているということじゃ。LPSが刺激してから出る抗菌ペプチドは院内感染症を予防したり、腸内フローラを維持したりする大事な作用をしておる。つまり、食事がパネート細胞を活性化して、LPSによる生体防御反応を高めている、いわゆるプライミング作用をしているのじゃな。さてさて、今日の御飯はなんじゃいな?

文献: Omata J, et al., Parenteral nutrition suppresses the bactericidal response of the small intestine. Surgery 153: 17-24 (2013).

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

 

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